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2007年8月10日 (金)

夜、落ちる

掻爬当日・翌日までは、恐らく、流産したことの悲しみよりも、
恐怖の手術が終わったことへの安堵感でいっぱいだったんだと思う。
”心拍が見えない”と言われてから手術が終わるまで5日間、
奇跡的願望と絶望感と恐怖感でいっぱいだったから。
だから、スッキリした感いっぱいの気持ちだったんだと思う。
でも、さすがに、日が経つにつれて段々と、
寂しさや悲しさや虚しさがこみ上げてきてる。
特に、夜が強い。

過去に戻れるなら・・・。ワタシはいつに戻りたいだろう。
ベッドに横たわり、ふと、そんなことを考えた。
振り返ってみると、”この時期に戻りたい!”って時期がない。
口をついて出てきたのは、”記憶のない時期に戻りたい”って・・・。

実家のアルバムにある、やっと1歳になったくらいの写真。
可愛い浴衣を着せてもらい、頭には大きな黄色いリボン。
庭先のブランコに乗せられて、満面の笑みで撮られた写真。
できれば、あの頃に戻りたい、って。

結婚は早かったものの、母もなかなか子供ができなかった。
30を過ぎて兄を産み、中ひとり流産をして、
ワタシを産んだのは36歳だった。
”春生まれの女の子が欲しい!”と願って、
半ば計画的に仕込んだ(笑)らしい。

念願通り、春にワタシが産まれた。
いわば、望まれて、願われて産まれてきた、待望の子供だった。
でも、低体重児で、なかなか保育器から出られず、
当時の医療技術では、
”長くは生きられないかも知れない”と言われたらしい。
そんないきさつもあって、とても大切に育てられたらしい。

あの、写真で笑うワタシは、こんな人生を送るなんて、
戻りたい時期が思い浮かばないような人生を送るなんて、
3回も流産して、自分のような子供を抱けないでいるなんて、
想像もしなかっただろう。
どうしてこんなになっちゃったんだろう。
記憶をたどる限り、記憶がある時点では、既にズレていた気がする。
だから、記憶のない、産まれて間もない頃に戻りたい。
今残っている、全ての記憶を消してしまいたい。

そんな、もの凄く陰鬱な感情に押しつぶされて、
”こんな風に30年以上も人生を無駄にしてしまってごめんね”、って、
タオルケットを顔に押しつけながら、嗚咽した。
”あの頃のワタシ”に申し訳ないと思った。

夜って怖い。底なしに落ちて行ってしまう。
夜が明ければ、虚しい感覚が多少残ってるものの、
そこまで自己嫌悪な感覚は残っていないのに・・・。

それでも、そろそろ人生の折り返し地点に立つ歳。
これから先、どうやって生きていくのか、考える時期だと思う。
本当はどうしたいのか。どう生きていきたいのか。
今までの人生を否定したいのであれば、
せめてこれからの人生は納得できる人生にしたいし。
子供のことに関しても、ある程度の結論を出さないといけないし。

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