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2007年3月23日 (金)

無題

”3時半に帰ってきた”と言う夫がシャワーを浴びている間に家を出た。
ゴミを持ち出すこと、日灼け止めを塗ることを忘れたことに気付いたけど、
時間ギリギリだったで、そのまま早足で駅に向かった。
”あぁもう、今日は最悪。しっかりしろ!ワタシ”と太ももを叩いて。

”今日鍼だっけ?”
”そう。その後、水子地蔵に行ってくる。お彼岸だし”
”赤坂?”
”そう”
”鍼の後?”
”そう”
”そっか”

夫がシャワーを浴びる前、そんな会話をした。
夫の職場から歩いて5分程度の所にある水子地蔵。
鍼の前だったら、一緒に出てお参りしようと思ったのかも知れない。

先週、突発的にキャンセルしちゃったので、2週間ぶりの鍼灸院。
気分と足取りが重たい。
予約時間ギリギリに到着、ベッドに通される。
前の人の施術が終わっていなくて、少し待たされる。
いつものように、”どうですか?調子は”と聞かれる。
噴門部分の違和感と動悸、首から腕にかけての筋肉痛を告げる。
不具合な部分を処置しながら、良くなった部分を教えてくれる。
”冷えが完全に取れたから、陽の乱れに変わってきてる”って。
最近、先生の言うことが感覚的に分かるようになってきた。

背中を施術してもらってるとき、”肌のきめが細かくなってきたね”
と言われた。”お化粧の乗り、良くない?”って。
”ファンデーション塗らないので分かりません”と答えると、
”ホント?最高だね。お化粧はしないのが一番”と言われた。
”肌が綺麗になった”なんて言われると、ちょっと恥ずかしい。
”女性ホルモンが整ってきたんだね。これなら自然妊娠できるかもよ”
と言われた。”悪いところはないんでしょ?”と聞かれ、
”ピックアップは分かりませんが、あとは異常なしでした”と答えた。
”うん、凄く良くなってる”と何度も言われた。
先生の口から、”自然妊娠”って言葉が出るなんて・・・。

ウォーキングの前後、良く動悸がする、と言ったら、
”ウォームアップとクールダウンしてる?突然一生懸命歩いてない?
最初と最後の5分は、ゆっくり歩かなきゃダメだよ”と言われた。
”一生懸命頑張り過ぎちゃうんだねー。効果も確実に出てるけど、
負担も心臓に出ちゃってる。頑張りすぎないで”と。
なんかもう、なんでも一杯一杯な自分に自分で閉口。

珍しく先生がお会計をしてくれた。
予約を確認する先生に、”5月の初めまで、先生を押さえてあります”
と告げると、カードを見つつ、”ホントだ”と笑われた。
”旦那さんはどう?”と聞かれ、”かなり疲れてます”と言うと、
”足の裏にお灸をしてあげて”と、
ワタシの足を使って丁寧に場所を教えてくれた。
”お灸をしてあげることも揉んであげることも、スキンシップになるし、
触られると癒されるものだから”って。
”男は疲れてくると会話しなくなる。だから、触ってあげて”と。
確かにそうだなーと思った。
毎回、先生には色んなことを教えてもらう。
だから肉体的だけじゃなく、精神的にも落ち着くのかも知れない。

鍼灸院を出て母校の前を通ると、袴姿の女の子達がゾロゾロと。
卒業式だったらしい。懐かしいなーと眺めながら、表参を赤坂通へ。
途中、青山霊園・乃木坂の辺りが余りに気持ち良く、
何度も立ち止まった。こんな近くにこんな場所があったんだ、って。
大学に通ってる頃は、そっち方面に行ったこと無かったから。
桜が咲いたら綺麗だろうなー。

ゆっくり1時間かけて赤坂に到着。
水子地蔵の前で手を合わせると、自然と涙が溢れてきた。
脇に置かれているベンチに腰をかけ、暫く泣いていた。
”涙を流していた”って表現が適切かも知れない。
悲しいとか寂しいとかの感情はなく、ただただ涙が溢れてきた。

10分15分泣いていただろうか。
ぼーっとしたまま腰を上げた。”また来るからね”と声をかけて。
今日はもう歩けない、と思った。心身共に疲れてしまった気がして。
とりあえず、最寄り駅の赤坂まで戻ることにした。
駅前のビルの本屋さんに入り、都心の地図と旅本を眺める。
ワタシが持ってる地図は10年前の物なので、情報が古い。
ウォーキングしてると、道が無くなったりできてたり色々なので、
新しい地図を買おうかと迷った。でも買わなかった。
旅本は、日光・那須辺りのやつ。それも結局買わなかった。

本を眺めてると携帯に夫からメール。”六本木に着いたら連絡して”と。
”何か用事?”と返事をすると、”近いから出ようと思って”と。
携帯の電源が切れそうだったので、”お参りは終わった。
これから帰るところ。四谷まで歩こうかと思って”と返すと、
”そっかー。ごくろうさまでした”と返事が返ってきた。
せっかくだから、お茶くらいしても良かったかも知れない。
でも、出てきてもらっても、一緒に帰れるワケじゃないし、
夫の顔を見たら、また涙が止まらなくなる気がした。
ちょっと冷たい言い草だったね。ごめんね。

外堀通りを四谷まで歩く。
四谷近くの、小高い公園を歩くと、膨らんだ桜のつぼみが近い。
歩きながら、何度も涙が溢れてきた。かなり不安定。
押し殺して歩く。とにかく歩く。
疲れを感じ始めてたけど、電車に乗りたくなかった。
それでも、足が限界に近かったので、四谷から電車で帰宅。
結局、2時間くらい歩き回ってしまった。

鍼灸のお陰で、体は軽くなったけど、気分が晴れない。
こんなことは珍しい。初めてかも知れない。
”自然妊娠できるんじゃない?”なんて、最高の誉め言葉なのに、
毎日のウォーキングとお灸の効果が明らかに出てるってことなのに、
先生の言葉が空を切ってる感じがした。

なんとも言えない虚無感。
性格上、適当に誤魔化すことができないので、向き合うしかない。
流せないし、例え流せたとしても、余計に虚しくなったりする。
自己嫌悪に陥ったりする。
だから、ちゃんと向き合って、ちゃんと消化しなきゃダメなんだ。
ホント、ワタシって面倒な性格してる。

鍼灸院の先生に、”ストイックなんだね”と言われた。
”なんでも突き詰めなきゃ気が済まないんだね”って。
この虚無感に関しては、全く話してないのに、
ちょっとした会話と体の反応で、そんなことまで分かるんだろうか。
ちょっと怖いけど、だからこそ癒されるのかも知れない。
体が整うと、心が整うって本当かも。

こうして言葉を羅列してるうちに、何か見えてくるだろうか。

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