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2006年12月15日 (金)

その日②

先生が変わり、エコー画像を見ながら説明を受ける。
”ここが子宮口です。今の状態では狭いので、
ここを広げるために、マッチ棒のような器具を挿入します。
手術は部分麻酔をして行います。
歯医者さんの麻酔のような感じです。
では、これから器具を入れますね”と。
こちらの反応を余り意識していないようなので、
最初のうちは打っていた相づちを、途中で止めた。

”ラミナリア”と呼ばれるその器具(装置?)。
挿入作業が始まると、時々鋭い痛みが走った。
その度、”痛い!”と声を上げるも、特に反応は無し。
作業は淡々と進められた。

かなりな苦痛を伴って、挿入作業は終了した。
作業自体は5分程度だったかも知れない。
下腹全体に、重い痛みが広がった。
看護師さんに”お腹の痛みはどうですか?”と聞かれ、
”痛いです”と答えると、”では、少しこのまま休んで下さい”と、
剥き出しの下半身にバスタオルを掛けてくれた。

5分くらい経過しただろうか。
タイマーがけたたましく鳴って、看護師さんが駆けてきた。
”どうですか?動けそうですか?”と聞かれたので、
”はい”と、やっと声を絞り出すと、
”ベッドが空いているので、そちらへ移動しましょう”と促された。
支度を終えて声をかけると、看護師さんは入り口へ回ってきて、
隣のリラックスルームへと連れて行かれた。
内診室から出たとき、廊下で待つ人達の視線を感じた。
事情を知ってるはずはないのに、なんだか哀れまれてる気がして、
逃げるようにリラックスルームに入った。

一番端に、扉の付いた、隔離されたベッドがある。
そこに案内され、”処置は2時くらいになると思いますので、
お着替えして休んでいて下さい。また呼びますので”と言われた。
思わず、”痛いですか?”と聞いてしまった。
”個人差がありますね。処置自体より、麻酔の方が痛かった、
と言う人もいますし”と当然な答えが返ってきた。
馬鹿な質問しちゃったな、と、扉を閉めて苦笑した。

無麻酔掻爬だと言うことは、経験者のブログを見て知っていた。
実際は、”部分麻酔”だったわけだけど。
痛みや苦痛の表現は、確かに人によって様々だったけど、
一般的に全身麻酔で行うことが多い施術だってことは、
それなりの痛みがあるからなわけだし、
それを部分麻酔だけで行うことへの恐怖心はかなりあった。
中には、”下半身を押さえつけられて、気絶しそうだった”
なんて表現していた人もいたし・・・。

取り敢えずインナー類は付けたまま術着を着た。
ベッドに横になり、”今、電話できる?”と夫にメールした。
すぐに電話がかかってきて、”ダメだった”と一言告げると、
”そっかー”と。
後で聞くと、メールが来た時点で嫌な予感がしていた、と。
電話で話すようなことは特に無いはずだし、って。
”心臓が止まっちゃってるって言われて、
すぐに子宮口を広げる処置をしたの。
今ベッドにいるんだけど、14時頃手術だって”と告げると、
”そっか、分かった。調整して、また連絡するから”と。
調整?何を調整?って思ったけど、”分かった”と返事をして
電話を切った。

間もなく、”これから行きます”とメールが来た。
これから?
すぐに”今すぐ来ても会えないと思うよ”と返事をした。
”そっか。じゃ取り敢えず家で待機してます”と返事が来た。
後で聞くと、事情を上司に話したところ、
”仕事なんて良いから、すぐに行け”と言われたらしい。
夫本人より、周りの人達が慌てふためいていた、と。
処置の後の段取りは、ワタシにも全く分からないので、
”処置が終わったら暫く休むことになると思うから、
終わった時点で連絡します”とメールした。
麻酔をしなければ、意識ははっきりしてるはずだし、と思って。

既に12時半になっていた。少し眠ろうかな、と目をつぶった。
実際には眠れなかったけど、目を開けてもいられなかった。
下腹部には重くじりじりとした違和感がある。
脱力して目を閉じていると、壁の向こう側で歓談する、
看護師さん達の楽しそうな声が聞こえてきた。
実はこのベッド、内診室の廊下の隣にあって、ドアで繋がってる。
施錠がしてあって空かないし、その前にベッドが置いてあるので、
実際動線は無いんだけど、そんな状態なので、
内診室辺りでの会話や物音は筒抜けだった。

聞くともなく聞こえてくるのは、ボーナスの話やドラマの話。
途中、”ラミに当たっちゃってー”と言う声が聞こえた。
ラミって、ラミナリアのこと?それってワタシのこと?
”時々続くことあるよねー”とかなんとか。
途中で、隣の部屋に当の本人がいることに気付いて、
慌てて会話をやめたような雰囲気を感じた。
突然沈黙して、暫くは作業の音だけが聞こえて、
その後、また歓談を再開したから。
時間的にちょうど、午前と午後の診察の合間だったらしく、
掃除やゴミ処理などをしてるようだった。
とにかく、終始賑やかで、眠れるような状態ではなかった。

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